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映画『和』プレミアム上映会――映画感想2

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(2014/04/27 15:51:59ネタバレなしコーナーに投稿したのと同じ感想文を、こちらに投稿し直します。)
 
 トークショーでもりけんさんが「日本を愛している」と言って、ひいおじいちゃんのエピソードを話してくださいました。そこからの繋がりで「日本とは何か」を表現したのが映画『和』なのだと思います。映画を観て、わからないがゆえの奥深さに触れられる作品だと感じました。
 私が観たときには、メイドさんが出てくるところで、なぜかほろっときました。なぜだか理由はよく分からないのですが・・。
 
 不思議なことに、映画に出てくる外国人の中に、日本人らしさを垣間見た気がしました。
 フランス人シェフの方は、質問を受けたときに、わからないということに誠実に向き合って、率直にその思いを出されている印象を受けました。一応の答えを言いながらも「こういった質問に答えるのは難しい」と言っていた場面がありました。
 インタビューを受けて「わからない、あなたはどうなの」と隣の連れに振ったりしていたのも西洋人でした。
 
 終盤の「『和』とは何だと思いますか?」の質問に答えたのもフランス人シェフで、「こういう言葉を表すフランス語はない」ということでした。意味深い・・本当に「意味深い」としかほかに言いようがないような独特の何かが「和」の中にはあるのだということが、確かに伝わってきました。
 日本人なら、一応の答えを言える人もいると思います。ですが、ピンポイントに核心を突くことだけが、真理に近づく方法ではないのだということを感じさせられました。ピンポイントは、鋭いですが狭いです。真理は周辺にも広がっているのではないかという気がします。「言い切れなさ」を表現することでしか、浮き彫りにできない真実もあるのではないかと思いました。
 
 映画『和』全体が、そういうアプローチをとった作品なのだと感じます。
 日本人は月にウサギを見るという話をして、フランスでは月が想像力をかき立てることはあるけれど直接に何かの形は見ないという答えが返ってきます。こういう意外なところにも日本人の特性が隠れているような気がしてくるのですが、それが何なのか今のところどうとも言えません。
 空手の流れるような型や回転寿司のシーンが出てくるのですが、それによって何が表現されているのかを、言葉で説明するのはとても難しいです。けれども、何かが心の琴線に触れ、身体の奥に届いたという、確かな感触があるのです。
 
 原宿の街は活気に満ちていました。ここで暮らす人々の笑顔が、日本の明るさを支えていると感じます。東京駅では対照的に、多くの人がインタビューに応じず足早に去っていきます。でもこの人たちが日々一生懸命仕事をして、今の日本社会を支えてもいます。ラストシーンに写るのは、渋谷のスクランブル交差点です。
 これら全部をひっくるめたのが日本の姿なのだと感じました。一言では言い切れません。
 日本の特徴を全部はっきり分かっている日本人は、誰もいないと思います。
 だから映画『和』は、日本人が観ても未知の世界に遭遇するような、たくさんの「わからない」に出会える作品なのだと思いました。

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