登場人物たちみんな、誰もがもってる欲望を肯定してるのを感じます。水島教授は、真剣な授業で、教授の写真にイタズラ書きする学生たちを叱るどころか、なかなか良く似合ってるじゃないかって喜んでたり、あの世に行ってタダのスープをがぶ飲みしたり(笑)来世はAKBみたいな可愛い女の子に生まれ変わりたいって、欲望全開でとっても嬉しそうです。中田くんや容子も、金庫室に飛ばされて教授は死んでしまって大変な状況にもかかわらず、美味しそうにふたりであんパンをほおばってます。更衣室での中田くんは、容子の着替えシーンをのぞき見たくてたまらない様子とか、容子そっくりのアニマからのキスをタコチューで受け止めようとしたり(笑)大変な状況もふっとんで欲望全開でとってもキます。智也はゼロ次元に飛ばされて、ドールに誘惑されるがまま、欲望に身を任せてます。智也や容子や水島教授や中田君の持ってる欲望がいろいろなシーンで表現されてます。そんな欲望は誰もが持ってるものだからまるで自分を見てるようでほっとするのを感じます。今まで誰もいったころのないゼロ次元という未知の世界や、身近な人の死を前にして、死んであの世に行ってなお、欲望は失われることなく、とっても生き生きと描かれてます。最後に反転したあと智也と容子の前を通り過ぎる天使とオカマとの会話に出てきたギリシャ神話は、まさにそんな欲望全開の物語です。ワンネスにはたくさんの魅力があるけれど、欲望の肯定もワンネスの魅力のひとつだって思いました。
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