高一の下校時、中央線に乗って立川駅で降り、乗り換えるために地下道を歩いていたときのことです。
ある声が頭の中に響いたのです。
「上の電車に乗って」
僕は思いました。
「えーー、上の電車に乗れば、また高校のほうに行っちゃうじゃないか」
声はもう一度しました。
「上の電車に乗って」
僕はUターンしました。
ホームではすでに発車のベルが鳴っています。
階段を一段飛ばしで駆け上がり、ドアが閉まりかけているところに飛び乗りました。
目の前に同じ高校のバッジを付けた子がいました。
飛び乗った電車は特別快速東京行きで、高校の駅には止まりません。
目の前にいた女の子が言いました。
「どうしたの?」
同じ声でした。
「君の声が聞こえたんだ」
これがきっかけで付き合うようになりました。
何が言いたいかといえば、カノジョを「選択」したわけではありません。
って言うか、学校イチの美人だったので、身長148センチでクリクリ坊主の僕としては、校内で知りあったとしても圏外でした。
さらに教室は校舎の端と端で下駄箱も違うので、こういう形でしか出会えなかったと思います。
昨日のタイトルは「流される人生」でした。
きょうのタイトルは「流れに乗る」です。
どちらも同じです。
そこに自分の意志はないのですから…。