アレスは自分が乗って逃げるべき宇宙船を小惑星に向けて発進させました。
「うまく着陸してくれよ」
そうです。実は軟着陸させるのです。
「やった。綺麗に着陸したぞ。次はドリルのような葉を出して、岩盤深く固定させよう」
リモコンを動かし、宇宙船をガッチリと固定させます。
「さあ、宇宙船のエンジンを噴射させて小惑星の軌道を変えないと・・、えーと、噴射の量は・・と」
彼はパソコンで計算します。
「最大量でないとダメか・・、しかしそうすると宇宙船の燃料が切れて、ここに戻せなくなる。俺はやはりここから逃げることは不可能か・・」
それでも彼は、ためらわずに噴射ボタンを押しました。
小型宇宙船の噴射の反動を受けて、小惑星は少しずつ軌道を変えます。
火星の海にピタリと向いたところで、小型宇宙船の燃料が切れました。