アレスは外に出ました。
突然現れた裸の女を凝視します。
「おお、あれはもしかするとビーナスじゃないかな。さすがに自薦他薦で『私は宇宙いちの美女よ』とふれ回っているだけある。自信満々じゃないか。火星に来たということは、俺が目当てなんだな。俺も宇宙いちのイケメンだからな。ふっふっふっ」
不敵に笑うとアレスも脱ぎ始めました(笑)
ここでアレスは初めて機械に気づきます。
「あんた、誰?」
「ワイの名はキュオリシティや。アレスさん、ええねんで、うちのことは、気にせんといて」
「と言いつつもお前はビーナスのほうばかり見ているじゃないか。君も男か」
「…(汗)」
「太陽系で生命が誕生したのは火星だけなのさ。ビーナスもそれを知っていてここに来たんだろう。しかもいきなり素っ裸だ。ふっふっふっ、ふっふっふっ♪」
「…(汗)」
この頃、NASAの管制センターでは大変です。
「キュオリシティが裸の女の画像を一瞬送ったところで切れた」
別の技術者が言います。
「何があったんだと言えば『うちのことは、気にせんといて』と答えるばかり」
もうひとりの技術者が言います。
「あいつまだ童貞で純情だからな…」
「我々は火星の生命を調査するためにキュオリシティを送り込んだ。まさか目の前でそれが実行されているんじゃないだろうな」
ところで生命があるから占いもあるのだと思います。
無生物だけの世界になれば、吉凶も関係ないと思うからです。