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「和」プレミアム上映会感想

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和は見る観客ひとりひとりによって違う感想をもつんじゃないかとおっしゃってたけれど、本当にその通りなんじゃないかと思います。まとめようとしてもまとまらなくて、そんな不思議な感覚になる映画です。ハムの世界も未知の世界だけど、それ以上に監督の視点が未知です。映画を作るのに編集というのがあるけれど、こんなふうに編集されたのは監督です。ジャンル分けがなくて、フィクション、ドキュメンタリー、アニメが次々と切り替わって出てくるけれど、見ていてまったく飽きることなくあっという間に最後のシーンで、意識が飛んでた感じがします。今までいろんな映画を見てきて、その映画で伝えたかったことをくみ取ろうとしてきたように思うし、感動して涙したり共感したりするのも、意識で何が言いたいか、何を訴えてるのかがくみ取れたからだと思います。けれど、和は全然違いました。ずっと問いかけられてる、そんな感覚が何とも言えず心地よかったです。


はじめ見たときはあの風まかせで飛ぶグライダーのシーンにグッときました。その理由が何なのか、後から考えたら主体性のないはずのグライダーが風まかせ、周りにゆだねることで、自由自在に飛んでる姿にグッときたのかもしれません。でもその瞬間にはわけもなく涙が出てきました。そのシーンを最後にもってきたことも監督の編集だと思います。そして、それまでの展開なしに、そのグライダーのシーンだけ見ても同じ感覚にはならなかったかもしれないとも思います。主題歌とともに、最後にあのシーンが流れたことがとても深く胸にきました。そのグライダーを操縦してるのは佐藤先生で、指向性と無指向性のアンテナのシーンが浮かびます。それだけでなくインタビューで、八木先生の座右の銘をお話されたり、ご実家にキリスト教会を建てられたお話も浮かんできます。アンテナのシーンでは電波を送受信する説明が浮かんできます。ハムはそんなアンテナによって電波が送受信された世界です。流星くんや星美さんやピエールくんが日本を飛びこえて世界や宇宙まで電波を飛ばしたり受信したりしてます。目に見えない電波というのがこの空間には存在してて情報を乗せて世界中、宇宙にまで情報を運んでくれるのはとても不思議です。その電波を通して出会った流星くんや星美さんやピエール君、そして宇宙人との遭遇に、とてもクルものがありました。以前に、このhpで佐藤先生がもりけんさんの質問に、なぜ電波が飛ぶのかわからないと答えていらっしゃったエピソードがありましたが、とても深い言葉だと改めて思いました。なぜ飛ぶのかわからない電波によって出会った登場人物たち、そしてなぜ飛ぶのかわからないエンジンのないグライダー、風まかせという世界で飛び続けてるグライダー。。。目に見えない電波や風によって出会ったり,飛んだりしてるのがこの世界なのかもしれません。


インタビューでの問いも出会いが偶然なのか必然なのか、答える人たちによって違う答えが返ってきて、ワカラナイままという感覚になりました。宇宙人がいるのかいないのかもそうです。どちらの答えも出てきて、ワカラナイままです。そんな編集をしてる監督のまなざしはとても深いと思いました。1つの答えを切り取ったら、反対の答えを切り捨ててるのかもしれません。けれど、普通の映画はそうだと思います。和にはそれがなくて、だから今までの映画を見るように意識で何が言いたいかをまとめようもないのかもしれないと思いました。そんな編集をされた監督の視点にとてもキました。目に見える世界には目に見えないものがあってその向こうに迫っていくけれど、そのなかで1つの方向性や価値観にならないような、どこまでもワカラナサを大事にされてるのを感じます。そんな監督の視点を、観る側も追体験してるようで、何だかとても不思議な感覚になるのかもしれないと思いました。


生まれて物心ついてはじめて自分や周りの世界を意識しはじめたころは何もわからなかったし、常識も価値観もなかったんだと思います。見てるときにはそこまではとても考えることなかったけれど、映画を観た感想が書き込めることで、後付けかもしれないけれど、問われることで自分の中で出てきた感想が書けることも、そのときには気づかなかった発見って感じがしました。

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