智也に貸すはずだった世界のノートを忘れ、ロッカーまで走っていく容子を見る智也のシーンです。
これも『経験前』と『経験後』を撮ります。
ここは俳優がイマイチ状況を消化し切れていなくて、私のコメントが入っています。
指示ではなく、コメントです。
指示だけすれば、表面的な演技で終わってしまいます。
あとから見れば、実に良い画に仕上がっていました。
ロッカーに置き忘れるというポカをやってしまった容子、一生懸命に走り去る容子。
後ろでは花瓶が割れるという外応が発生し、そのとき内なる声を聞く智也。
ワンネスという映画のもっとも重要な部分です。
それを表情だけで演じなければなりません。
みなさんの人生でもそうではないでしょうか?
重要な転機はほんの一瞬で、しかも会話は無し。
その一瞬にかけられたとき、人生が大きく変わる。