表記のセリフを二回言われたことがあります。
まず最初は大学を出て就職するときです。
「もりけんさんもこれで終わりですね」
とSBC(放送研究会)の後輩から言われたのです。
SBCはアナウンサーやディレクターやジャーナリストを目指す人が多くて、それは「個」を発揮できるからです。
しかし富士通は5万人も社員がいる会社です。
没個性にならざるを得ません。
だからそう言われたのです。
二度目に言われるのは、富士通に辞表を出したときです。
女子社員から
「森田さんもこれで終わりね」
と言われたのです。
しかもジッと凝視され、10メートルも離れた位置からかなり大きな声で言われたのです(笑)。
それを聞いた他の社員は僕の顔を見ました。
ヤバイことを言われて、どうするんだろうって。
しかし僕はニコニコしていました。
だってこういうことを言われるのは本望(ほんもう)です。
しかし「森田さんもこれで終わりね」を外応と捉えれば、かなりマズイです。
これから頑張ろうとしている人間に時空は彼女の言葉を借りて「終わりだ」と告げたのですから(笑)。
でもなぜか終わりにはなりませんでした。
25年後に富士通の同窓会が開かれたとき、女性から言われました。
「森田さんはあれで終わったわけではなかったのね」
いや、終わったと解釈するのが正しいと思います。
私はあれで区切りをつけたのです。
区切りをつけなければ、次の運に乗れないのかもしれないからです。
しかし人は、自分で区切りをつけるのが難しいです。
初恋の人を忘れられないのもそのためです(笑)。
私は時空の側から区切りをつけてもらえたとすれば、「森田さんもこれで終わりね」というのはラッキーな言葉なのです(笑)